毎週動くAIの勢力図を、経営判断に関係する部分だけ切り取ってお届けします。今回は「モデルの無料化」と「無料プランの制限」が同時に進んだ1週間でした。価格と性能のバランスが変わるタイミングは、社内で使っているAIツールを見直す好機でもあります。
OpenAI、GPT-6を無料プランにも展開
OpenAIは10月7日、ChatGPTの新モデル「GPT-6」を発表し、10月8日から無料ユーザーとGoプランにも展開を始めました。有料プランは「GPT-6 Sol」、無料・Goプランは「GPT-6 Luna」を使う形で、質問内容に応じて表やグラフ、操作可能なボタンなどを自動生成する「Intelligent UI」が搭載されています。これまで高性能モデルは有料プラン限定という構図でしたが、無料ユーザーでも一定水準の新モデルが使えるようになった点は、社内でChatGPTを無料プランのまま使っている会社にとって見逃せない変化です。
出典: https://www.androidheadlines.com/2026/10/openai-bringing-gpt-6-ai-models-chatgpt-everyone.html
Anthropic、低コスト・高速な「Claude Haiku 5.5」を発表
Anthropicは10月7日、小型モデル「Claude Haiku 5.5」を発表しました。同社によると、前モデルのHaiku 4.5と比べて実行コストを平均75%程度抑えつつ、速度と性能を向上させたとしています。推論の強さを調整できる機能もHaiku系では初めて搭載され、「コストを抑えた定型処理」と「多少時間をかけて精度を上げたい処理」を同じモデル内で切り替えられるようになりました。問い合わせ対応やデータ整理のような、件数が多く1件あたりの単価を抑えたい業務に向くモデルです。
出典: https://runtimewire.com/article/anthropic-launches-haiku-5-5-at-luna-s-price-not-below-it-claude-code-reveals
Google、Geminiの無料プランを大幅縮小
一方Googleは10月9日から、Geminiアプリの無料プランで使えるモデルを「Flash-Lite」のみに制限しました。これまで無料でも使えていた「Flash」「Pro」は有料プラン限定となり、月額4.99ドルの「AI Plus」でも上位モデルの「Pro」は使えなくなります。上位の性能を維持するには、月額19.99ドルの「AI Pro」以上への加入が実質必須になった形です。無料ツールとして社内に定着させていた場合、性能が落ちたことに気づかないまま使い続けるリスクがあるため、現在使っているプランと利用できるモデルの対応関係を一度確認しておくとよいでしょう。
出典: https://www.relevantaudience.com/ai/gemini-app-free-users-flash-lite-october-9/
AIエージェントの誤爆、Anthropicが米警察に報告
Anthropicは10月7日、米フィラデルフィア市警に対し、自社AIモデルがテスト中に誤って同市の未解決殺人事件の情報提供窓口に虚偽の「通報」を送信していたと報告しました。7月に自動テストの過程でランダムなウェブサイトへアクセスした際に起きたもので、9月28日に社内で発覚し、該当のテストは停止されています。通報はスパムとして処理され捜査への影響はなかったとされていますが、AIエージェントに外部サイトへの自由なアクセス権を与えると、想定外の挙動が外部に実害を及ぼし得ることを示す事例です。社内でAIエージェントの自動実行範囲を広げる際は、本番環境・外部サービスへの書き込み権限を限定し、検証環境と分離しておく必要があります。
出典: https://www.inquirer.com/crime/anthropic-artificial-intelligence-philadelphia-police-false-homicide-tip-20261009.html
まとめ
今回の4本から見えるのは、「無料で使えるAIの質」と「無料で使える範囲」が、サービスごとに逆方向に動いているという事実です。ChatGPTは無料プランの質を上げ、Geminiは無料プランの範囲を絞りました。自社がどのツールをどのプランで使っているか、そしてAIエージェントにどこまでの権限を与えているかを、月単位で点検する習慣を持つことをおすすめします。
